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外国人ビザトップ > 新・在留管理制度の改正ポイント

外国人社員を雇用する会社がいま注意すべきこと

2012年7月9日入国管理法の改正により、新たな在留管理制度がスタートしました。新制度に対する理解不足や誤解もあるようです。外国人社員の雇用に際して知っておくべき注意点をまとめました。

在留管理制度は、一定の在留資格で日本に中長期にわたり在留する外国人の在留状況を管理・把握する制度です。

新しい在留管理制度により、外国人の在留状況がこれまで以上に正確に把握できるようになるとされています。

新制度について、企業の人事・労務担当者が注意を要するのは主に次の6点です。

「外国人登録証明書」の廃止と「在留カード」への切り替え

在留期間5年の新設

みなし再入国許可制度の新設

在留資格の取消事由の追加

高度人材に対する優遇措置

不法就労助長罪の強化

以下、順番にその内容と留意点などを確認していきます。

外国人登録証明書から在留カードへの切り替え

従来、日本に90日以上在留する外国人は「外国人登録」が義務づけられ、身分証明書として市区町村から外国人登録証明書が発行されていました。しかし、2012年7月9日以降、外国人登録証明書は廃止され、入国管理局から「在留カード」が発行されるようになりました。ただし、切り替えの完了までには約3年を要するため、完全に在留カードに一本化されるのは2015年以降です。

(1) 在留カードの交付対象
在留カードは、正規に日本に中長期在留する外国人に対して交付されます。具体的には、次の①~⑥にあてはまらない人です。
① 3カ月以下の在留期間が決定された人
② 「短期滞在」の在留資格が決定された人
③ 「外交」または「公用」の在留資格が決定された人
④ 「特定活動」の在留資格が決定された一定の人
⑤ 特別永住者
⑥ 在留資格をもたない人

(2)切り替え完了までの経過措置
現在も、在留カードではなく従来の外国人登録証明書を所持している外国人が数多くいます。なぜなら、経過措置として、外国人登録証明書が在留カードとみなされているからです。

外国人登録証明書が在留カードとみなされる期限は、現在許可されている在留資格の種類により異なります。

・「人文知識・国際業務」「技術」「技能」「企業内転勤」「投資経営」「日本人の配偶者等」など

現在許可されている在留期限まで

・永住者

平成27年7月8日まで

たとえば、「人文知識・国際業務」の資格で平成25年10月31日まで有効な外国人登録証明書は、その期限までは在留カードとみなされます。したがって、切り替えは不要です。

そして、期限である平成25年10月31日の前に更新許可申請を行い、更新が許可になると、入国管理局から在留カードが交付されるしくみになっています。

更新すると、外国人登録証明書は自動的に無効になり、市区町村に返納する必要はありません。

従来の外国人登録証明書は、市区町村役場と入国管理局で別々に手続きが必要な場面が多かったのですが、在留カード導入後は基本的にどちらかで手続きをすれば足り、手続きをする外国人にとっては便利になりました。

なお、管轄の入国管理局で申請をすれば、期限前に(次回更新まで待たなくても)外国人登録証明書から在留カードに切り替えることができます。

この場合、在留カードは即日交付されます。

(3) 初めて入国する外国人社員の在留カード

昨年7月9日以降、初めて日本に入国し、在留カード交付の対象となる中長期在留者の外国人は、到着した空港で在留カードが交付されています。

たとえば、「技術」の資格で雇用する外国人社員を在留資格認定証明書で海外から呼び寄せたとすると、初めて日本に入国したときに空港で在留カードが交付されます。

ただし、成田・羽田・中部・関西空港に限定されます。これら以外の空港から入国した場合は空港では交付されず、入国後、市区町村役場で住所の届出をした後に交付されることになります。

(4)手続きや届出先の変更

在留カード移行後は、各種の手続きが変更になっています。自社で雇用する外国人社員に(図表1)のような状況変化があった場合は、本人が手続きを漏れなく行えるよう、適宜会社からアドバイスをしましょう。

◆図表1:各種の手続きと届出先・期限◆

手続き(種類) 届出先 期限
住所変更(引越し) 市区町村役場 転居から14日以内
転職・転籍 管轄の入国管理局 転職・転籍から14日以内
勤務先の社名や住所の変更 管轄の入国管理局 所属機関の変更から14日以内
「日本人の配偶者等」
「永住者の配偶者等」
「家族滞在」の外国人社員が配偶者と離婚や死別した場合
管轄の入国管理局 離婚や死別から14日以内

在留期間の上限が最長「5年」に

これまで在留期間は3年が最長だったのですが、新たに「5年」が追加されました。

また、当初から短期の在留を予定している場合があることなどから、最短も「3カ月」と「6カ月」が追加されました。(図表2)

◆図表2◆

在留資格 在留期間
「人文知識・国際業務」
「技術」などの就労系の在留資格(「興行」「技能研修」を除く)
3カ月、1年、
3年、5年
「日本人の配偶者等」
「永住者の配偶者等」
6カ月、1年
3年、5年

5年の在留資格を取得できれば更新手続きの回数が減るなど、外国人社員にはメリットです。

ただし、申請すれば無条件に5年を取得できるわけではありません。雇用先の状況(上場企業や一定規模以上の大企業であるなど)と、外国人本人の個別状況により審査・判断されます。

1年以内なら出入国が自由なみなし再入国許可制度

従来、日本に在留する外国人は、入国管理局で「再入国許可」を得ないまま出国すると、保有する在留資格を失いました。

そのため、海外出張や海外駐在のために出国する外国人社員は、そのつど入国管理局へ出向いて、再入国許可を得なければなりませんでした。

「みなし再入国許可」の制度ができたことにより、1年以内の再入国(日本を出国して再び来日すること)の場合には、再入国許可が不要になりました。

したがって、1回の出国期間が1年以内であれば、何ら手続きすることなく、出国・入国を繰り返すことができます。

基本的には会社にも本人にもメリットがある改正点ですが、一方で注意点もあります。それは、みなし再入国許可により日本を出国して、再入国しないままの期間が1年を超えると、保有する在留資格を失うことです。

したがって、日本からの出国期間が1年を超える可能性がある場合は、入国管理局で必要な期間(最長5年)の従来からある通常の再入国許可を得てから出国する必要があります。

在留資格の取消事由の追加

本来の在留資格に基づく活動を継続して一定期間行っていない場合、たとえば就労系の在留資格で働く外国人社員が会社を退職して3カ月を経過すると、正当な理由(転職活動を行っているなど)がない限り、在留資格の取消事由に該当します。

今回の改正では「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の在留資格をもつ外国人が、配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6カ月以上行わない場合が、新たに在留資格の取消事由として追加されました。(図表3)

◆図表3:在留資格の取消事由

就労系の在留資格の所持者   正当な理由なく、本来の活動を3カ月以上行っていない場合
「日本人の配偶者等」
「永住者の配偶者等」
正当な理由なく、配偶者としての活動を6カ月以上行っていない場合(今回の改正で追加)

たとえば、「日本人の配偶者等」の資格をもつ外国人社員が、日本人の配偶者と離婚し、そのまま6カ月を経過すると、在留資格の取消事由に該当します。

在留資格が取り消されれば、日本で正規に働けなくなります。「日本人の配偶者等」の在留資格で働く外国人社員が離婚したことを知った場合、会社としては就労系資格への在留資格変更を働きかける必要があります。

また、引き続き就労系資格をもつ外国人が転職してきた場合も注意しなければなりません。
前職会社が適法に当該外国人社員の退職を入国管理局に届けている一方、自社が入社の届出を怠り、入国管理局が再就職を把握できていなかった場合には、「正当な理由なく本来の活動を3カ月以上行っていない」として、当該社員の在留資格が取り消される可能性があるからです。

高度人材に対するポイント制の優遇制度

「高度人材に対するポイント制による優遇制度」が新たに導入されました。この制度は、経済のグローバル化が進展するなか、日本企業の国際競争力を高めるため、高度な能力や資質を有する外国人(=高度人材)の受入れを促進することを目的としています。

高度人材外国人の活動内容は次の3つに分類されています。

① 学術研究活動・・・基礎研究や最先端技術の研究を行う研究者

② 高度専門・技術活動・・・専門的な技術・知識等を活かして新たな製品・技術開発等を担う者

③ 経営・管理活動・・・日本企業のグローバルな事業展開等のため豊富な実務経験等を活かして
               企業の経営・管理に従事する者

これら3つの活動内容ごとに、「学歴」「職歴」「年収」などの項目別に「ポイント計算表」が公表されています。

このポイント計算表に従って該当する項目ごとにポイントが与えられ、合計ポイントが一定以上に達した場合に、その外国人は「高度人材」に該当すると判断され、一般の外国人にはない様々な優遇措置を受けられます。

「高度人材」の申請にあたっては、高度人材の条件に該当する外国人が、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請のいずれかを行うタイミングで、別途自ら高度人材であることを証明する必要があります。

高度人材外国人に対する優遇措置は全部7つあります。それぞれの概要は次のとおりです。

(1) 複合的な在留資格の許容
通常、日本で就労する外国人は許可された在留資格で認められている範囲外の仕事をすることはできません。

たとえば、「技術」の在留資格をもつ外国人社員は、「技術」で認められている範囲内の仕事(エンジニアやプログラマーなどの技術系の仕事)しか行うことはできません。

「技術」以外の仕事をすることは、たとえ同じ会社の中であっても違法行為になります。

対して、高度人材として認められれば、1つの在留資格にそのまま職務内容をあてはめるのではなく、複数の在留資格にまたがる複合的な就労や、事業経営活動さえも可能になります。

(2) 在留期間「5年」の付与

前述のとおり、在留期間の上限である「5年」は、雇用先の状況や外国人本人の個別状況を審査・判断のうえで認められますが、高度人材として認定された外国人に対しては、自動的に在留期間5年が付与されます。

(3)永住許可要件の緩和

一般の外国人が日本の「永住許可」を得るには原則として「10年以上」の在留期間が必要ですが、高度人材外国人は、通常必要な10年以上の日本在留期間がおおむね「5年」に短縮されます。

したがって、引き続き日本に5年以上在留すれば、永住許可の対象になります。

(4) 入国・在留手続きの優先処理

入国管理局における入国・在留手続きについて、高度人材外国人の場合は、通常の申請に優先して処理されます。

(5)高度人材の外国人配偶者の就労制限の解除

高度人材の外国人配偶者に対する就労制限が解除されます。「家族滞在」の在留資格をもつ外国人社員の配偶者は、通常、日本での就労に一定の制限がかかっています。具体的には「資格外活動許可の取得」や「週28時間までの就労」などです。

高度人材の外国人配偶者については、「教育」「技術」「人文知識・国際業務」などの範囲内で定められている職種で働く場合は、資格外活動許可は不要で、週28時間を超える就労も認められます。

(6)一定の条件の下での高度人材の親の帯同

外国人社員の親の帯同や呼び寄せは、一部の例外を除いて原則として認められませんが、年収などの一定の条件を満たした高度人材外国人や、その外国人配偶者が3歳未満の実子を育てている場合は、その親(実の親)の帯同と呼び寄せが認められます。

共働きの外国人夫婦にとっては便利な制度といえます。

(7)一定の条件の下での家事使用人の帯同

年収など一定の条件を満たした高度人材外国人は、外国で雇用していた家事使用人(家政婦やベビーシッター)の帯同などが認められます。

不法就労助長罪を強化し「過失がある場合」も適用

「不法就労助長罪」とは、次のような外国人を雇用した会社に科せられる罰則です。

①在留資格をもたない外国人

②在留資格はもっているが就労する就労する在留資格をもたない外国人

③許可されている就労資格以外の違法な就労を行う外国人

このような外国人を雇用した場合は、「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」の対象となります。

改正前は「不法就労であることを知らずに雇用した場合」は罰則の対象外でしたが、改正後は「被雇用者が不法就労活動をしていることを雇用主がしらないことに過失があった場合」も処罰の対象とされました。

雇用主の責任が重くなっているので、新たに外国人を採用する際には、これまで以上に在留カードなどで在留資格の種類や期限をしっかり確認することが大切です。